専務 菅野聡のブログ

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グッドデザイン賞2020の受賞について

本日、グッドデザイン賞2020を当社は受賞いたしました。受賞したものはプロダクトではなく、東急プラザ渋谷店を中心として行っている「コミュニケーションデザイン」という無形のプロジェクトに対するものです。

デザインという言葉を耳にすると、「見た目の美しさ」というビジュアルのデザインを想像されると思いますが、実際には「社会を変える仕組み」など、「目に見えない取組み」を表す言葉でもあります。

私たちのデザインプロジェクトは、青山に拠点を開設した2007年からスタートしました。まずは青山という情報発信地に拠点を置き、物の良さを発信していくこと。次に全く認知されていなかったプロフェッショナルのサービスを訴求するための企業の在り方や社会とのかかわり方を研究し実践してきました。それから約10年経過し、補聴器の今を「知り・学び・購入できる」日本初のオープン型補聴器専門店を、新生された東急プラザ渋谷に開設することに繋がりました。

そんな私たちの取組みは、補聴器のことをもっときちんと知ってもらうために、「本当であれば必要なのに存在しないもの」にフォーカスを当てて行動し続けてきたため、一歩下がって見てみると、いつも補聴器業界の動きとは違う方向にアプローチすることとなり、果たして社会に必要とされる取り組みが出来ているのだろうかと、集大成となる東急プラザ渋谷店の開設時に思いました。

「補聴器のような存在のリブランディングは、一見地味で目立ちにくい。」と、下記の審査委員の評価コメントにもある通り、一般にもメディアにも、あまり注目をされる分野ではありません。しかし、認知症の最大要因の一つが難聴でもあり、補聴器について放っておいてよいものでもありません。「注目される情報」であるかは別として、社会に意義ある活動ができているのか、それを問うてみたい。それがグッドデザイン賞の審査を申し込んだ理由です。

自画自賛ではあるものの、とても良い店を作ったと思っています。東急プラザ渋谷店は開業から10カ月となりますが、その間には新型コロナウィルス感染症による社会変化も重なり、様々な行動変容が求められ、店舗もまだまだ見直しをしていきたい段階にあります。

今回のグッドデザイン賞によって、あまり日の目を見なかった私たちの取り組みは社会に必要とされるものであることがわかり、自信に繋がりました。これから、益々多くの方々に難聴や補聴器について知っていただける場になるように、取り組んでいきたいと思います。ぜひ渋谷付近にお越しの際は、東急プラザ渋谷店へお立ち寄りください。

グッドデザイン賞・審査委員のコメント
整理整頓された美しいビジュアルデザインとロゴマーク。オープンで入りやすい店舗。補聴器をネガティブな補助装置ではなく「使ってみたい」というポジティブなコミュニケーションデバイスとして捉えられるような工夫が随所に施されている点が評価された。補聴器のような存在のリブランディングは、一見地味で目立ちにくい。しかし補聴器ユーザーが増え、より良い社会参加を実現することを考慮すると、これからの高齢化社会において、社会的意義のある重要なデザインプロジェクトであろう。

▼グッドデザイン賞公式Webサイト 当社受賞ページ
https://www.g-mark.org/award/describe/51062

補聴器専門店[東急プラザ渋谷店を中心とするコミュニケーションデザイン]プロジェクト

コロナ禍でとるべき補聴器選定論(補聴器とマスク、耳あな型補聴器と耳かけ型補聴器)

私は、ずっと昔から、本質主義。
先端の技術が好きで、価値あるものを使いたい。
本質的な良さを求め、長く使うものには、こだわりたい。

今の若者は、モノを購入する時に、活動に共感できる企業かどうかを購入の判断基準とする選び方が特徴とのこと。41歳のおじさんである私も、同じく共感できる企業か、共感できるモノか、売れるから売ろうとしていないか、真正面からではなく、ちょっと斜めからモノを見る。

本日の読売新聞朝刊にて、私が考える補聴器とマスクの使用方法について、紹介いただく機会を得た。この「補聴器とマスク」、昔から相性は…悪い。更にメガネをしている方は、補聴器とマスクとメガネの3つが耳にかかってしまうという状態になる。「マスクをすると、補聴器がひっかかるのよね~」と、今までは主にインフルエンザや花粉症が流行する一時期に相談を受けるものの、ピークが収まるにつれて、そのご相談は無くなっていくのが通例。コロナ禍の今は、その真逆の状態に。この補聴器とマスク、実はちょっとした工夫を習慣化してしまえば、いとも簡単に解決してしまうことを、当店のお客様でも忘れてしまう…ので、今回マスクを長期に毎日着用するコロナ禍で、習慣化してもらえるようになれば、今後はマスクのご相談は減っていくだろうと思う。因みに、マスクの外し方については、2020年 3月22日の私のブログ『「補聴器とマスク」、「渋谷で手作りマスク」』に詳しくまとめているので、ご参照を。また、 本日の読売新聞朝刊でも私が推奨するマスクの外し方について、カラー写真付きで大きく紹介いただいたので、読売新聞を購入いただきお読みいただけると嬉しいです。

このような中、補聴器業界では、「耳あな型補聴器」という、耳の中だけに全てのパーツが入っている補聴器が売れている。らしい(メーカー担当者によると)。
実際に、当店でもそのようなご相談が増えているものの、冒頭で申し上げた通り、本質的な良さから考えるため、お客様に対する補聴器の選定も、同様に対応している。長く使うものであり、この店で買ってよかったと思ってもらえる仕事がしたいので。

本当なのか、にわかには信じがたいが、コロナのピークが減少傾向にあるという嬉しいニュースを耳にするものの、今、補聴器を購入する際に考えなければいけないのは、コロナの本番と言われる、「秋冬」への備えを念頭に置くこと。

補聴器を購入される方が一番に考えるのは、補聴器で良く聞こえるようになりたいという一心。そして身に着けるなら「小型で目立たない補聴器」が良いというもの。 このため、耳あな型補聴器を選ぶときに求められるのは、超小型の補聴器。一時期、大手補聴器メーカーの製作基準の変更のきっかけにもなった、超小型耳あな型補聴器を更に小型化する研究をしたこともあり、本当は超小型耳あな型も薦めたいところ。しかし、今、このコロナ禍にあっては、残念ながら、超小型耳あな型補聴器はお勧めできない。

先の見えないコロナ禍で補聴器を選ぶなら、不測の事態にも対処しやすい多機能な耳かけ型補聴器を薦めたいというのが私の持論。 なぜなら、お客様が望む超小型の耳あな型補聴器は、余分な機能を極限まで省いて小型化しているため、マスクを着用した人の『こもり声』の対策をした「マスクプログラムの追加」や、ご自宅の補聴器と店舗のパソコンをインターネットを介して接続する「オンライン調整」、在宅勤務の方が使用する「オンライン会議対策」など、このコロナ禍に必要とされる様々な新たな先端の取組みに対応できる機能は基本的に、非対応だから。そして、万が一緊急事態宣言が再発令された中で補聴器の修理が必要となった時も、耳かけ型補聴器は試聴機があるため、すぐに代替機を宅配便で送付するなどの緊急対応をしやすいメリットも、コロナ禍では重要なポイント。

当店では、補聴器の購入前に、まずは1か月かけて補聴器の検証を行う「導入プログラム」を行います (コロナ禍にあっては、何度も通いたくない…というお客様には検証を最小限に販売する方法も臨時的に取り入れています) 。通常は「補聴器は使える、使いたい。」と思ってもらえるかの検証が主であるものの、現在はマスクと補聴器の干渉についても、合わせて検証を行っています。 この段階で「耳あな型補聴器」が本当に必要という方には、積極的に耳あな型補聴器をお薦めします。今、売りやすさを考えれば、耳あな型補聴器を推奨すべきであるものの、これまで述べてきた理由から、耳あな型補聴器は、あくまでも私には、2番手の選択肢に変わりありません。

「売れるから」ではなく、「必要だから」。求められていなくても、良いと思うものを、まずはお薦めする。
ずっと続けてきた『本質的思考』を羅針盤として、日々状況が変わり先の見えないコロナ禍の新しい日常を進んでいきたい。

まじめに、愚直に。

新型コロナウイルス感染症による臨時休業から、営業再開して2カ月弱。 感染の再拡大が予想よりも早かったため、メディアでは今もコロナ関連が取り上げられている。

先日、観たテレビは、ペスト菌についての番組。 歴史を振り返ることができ、科学も進歩しているものの、人の行動はなかなか変わらないものなのだと思った。

ペストは世界的権威であった北里柴三郎博士がペスト菌を見つけ、 日本でも感染が拡大した際には撲滅に尽力されたというお話。 ペスト菌を特定し、菌の特性も分かったものの、大黒天の使いである「鼠」の駆除に抵抗する当時の人々や、職を失うことを恐れて感染を隠す人々など、人の意識や行動を変えることから地道に始める必要があったというもの。

以下のことは、今、東京ヒアリングケアセンターが取り組んでいることと、同じと思った。

「人々の意識を変えるために、冊子で予防法の啓蒙を行い、ライフスタイルを変える。抵抗性をなくすだけの知識・理解を根気強く訴えていく。成し遂げた時、感染症の撲滅に繋がる。」

「補聴器で困っている人をゼロにしたい」というのが東京ヒアリングケアセンターの目標。 補聴器はできれば使いたくないという、人々の気持ち。そして安易に手を出すだけでは、満足した音は得られないという、一癖も二癖もある、聴力を補正する難しさ。

これらの問題に対して、オリジナルのパンフレットやWebサイトで広告性のない情報を提供し、見て触れて体験する中で今の補聴器を学ぶことができる東急プラザ渋谷店の取組み。困っている方の気持ちが「やってみようかな」と次のステップに移行したら、補聴器の検証を4つのステップで行う専門の導入プログラム。

ただ、愚直に、まじめに、今のまま、仕事に邁進して方向性は間違ってないなと思った。

本日、朝日新聞で以前に受けた取材記事が掲載され、早速問い合わせの電話が鳴った。このようなところからでも、地道に取り組んでいきたいと思う。