専務 菅野聡のブログ

コロナ禍でとるべき補聴器選定論(補聴器とマスク、耳あな型補聴器と耳かけ型補聴器)

私は、ずっと昔から、本質主義。
先端の技術が好きで、価値あるものを使いたい。
本質的な良さを求め、長く使うものには、こだわりたい。

今の若者は、モノを購入する時に、活動に共感できる企業かどうかを購入の判断基準とする選び方が特徴とのこと。41歳のおじさんである私も、同じく共感できる企業か、共感できるモノか、売れるから売ろうとしていないか、真正面からではなく、ちょっと斜めからモノを見る。

本日の読売新聞朝刊にて、私が考える補聴器とマスクの使用方法について、紹介いただく機会を得た。この「補聴器とマスク」、昔から相性は…悪い。更にメガネをしている方は、補聴器とマスクとメガネの3つが耳にかかってしまうという状態になる。「マスクをすると、補聴器がひっかかるのよね~」と、今までは主にインフルエンザや花粉症が流行する一時期に相談を受けるものの、ピークが収まるにつれて、そのご相談は無くなっていくのが通例。コロナ禍の今は、その真逆の状態に。この補聴器とマスク、実はちょっとした工夫を習慣化してしまえば、いとも簡単に解決してしまうことを、当店のお客様でも忘れてしまう…ので、今回マスクを長期に毎日着用するコロナ禍で、習慣化してもらえるようになれば、今後はマスクのご相談は減っていくだろうと思う。因みに、マスクの外し方については、2020年 3月22日の私のブログ『「補聴器とマスク」、「渋谷で手作りマスク」』に詳しくまとめているので、ご参照を。また、 本日の読売新聞朝刊でも私が推奨するマスクの外し方について、カラー写真付きで大きく紹介いただいたので、読売新聞を購入いただきお読みいただけると嬉しいです。

このような中、補聴器業界では、「耳あな型補聴器」という、耳の中だけに全てのパーツが入っている補聴器が売れている。らしい(メーカー担当者によると)。
実際に、当店でもそのようなご相談が増えているものの、冒頭で申し上げた通り、本質的な良さから考えるため、お客様に対する補聴器の選定も、同様に対応している。長く使うものであり、この店で買ってよかったと思ってもらえる仕事がしたいので。

本当なのか、にわかには信じがたいが、コロナのピークが減少傾向にあるという嬉しいニュースを耳にするものの、今、補聴器を購入する際に考えなければいけないのは、コロナの本番と言われる、「秋冬」への備えを念頭に置くこと。

補聴器を購入される方が一番に考えるのは、補聴器で良く聞こえるようになりたいという一心。そして身に着けるなら「小型で目立たない補聴器」が良いというもの。 このため、耳あな型補聴器を選ぶときに求められるのは、超小型の補聴器。一時期、大手補聴器メーカーの製作基準の変更のきっかけにもなった、超小型耳あな型補聴器を更に小型化する研究をしたこともあり、本当は超小型耳あな型も薦めたいところ。しかし、今、このコロナ禍にあっては、残念ながら、超小型耳あな型補聴器はお勧めできない。

先の見えないコロナ禍で補聴器を選ぶなら、不測の事態にも対処しやすい多機能な耳かけ型補聴器を薦めたいというのが私の持論。 なぜなら、お客様が望む超小型の耳あな型補聴器は、余分な機能を極限まで省いて小型化しているため、マスクを着用した人の『こもり声』の対策をした「マスクプログラムの追加」や、ご自宅の補聴器と店舗のパソコンをインターネットを介して接続する「オンライン調整」、在宅勤務の方が使用する「オンライン会議対策」など、このコロナ禍に必要とされる様々な新たな先端の取組みに対応できる機能は基本的に、非対応だから。そして、万が一緊急事態宣言が再発令された中で補聴器の修理が必要となった時も、耳かけ型補聴器は試聴機があるため、すぐに代替機を宅配便で送付するなどの緊急対応をしやすいメリットも、コロナ禍では重要なポイント。

当店では、補聴器の購入前に、まずは1か月かけて補聴器の検証を行う「導入プログラム」を行います (コロナ禍にあっては、何度も通いたくない…というお客様には検証を最小限に販売する方法も臨時的に取り入れています) 。通常は「補聴器は使える、使いたい。」と思ってもらえるかの検証が主であるものの、現在はマスクと補聴器の干渉についても、合わせて検証を行っています。 この段階で「耳あな型補聴器」が本当に必要という方には、積極的に耳あな型補聴器をお薦めします。今、売りやすさを考えれば、耳あな型補聴器を推奨すべきであるものの、これまで述べてきた理由から、耳あな型補聴器は、あくまでも私には、2番手の選択肢に変わりありません。

「売れるから」ではなく、「必要だから」。求められていなくても、良いと思うものを、まずはお薦めする。
ずっと続けてきた『本質的思考』を羅針盤として、日々状況が変わり先の見えないコロナ禍の新しい日常を進んでいきたい。