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日本の補聴器技能者に対する私見と、自らのプロフェッショナリズム

IHS10年のお祝い

アメリカの聴覚団体の海外会員となって10年。お祝いの賞状が届き、なぜ入会したのだったかなと、その経緯を振り返ることにしました。

10年前…青山店を立ち上げて2年の年。色々な課題を抱え、その克服に挑戦をしていた頃になります。少しでも先進の情報を取り入れたいと、海外情報の入手に積極的になっていた頃でした。やりたいことはあっても、日本ではできない、医療行為とのグレーゾーンでやらない方が…色々なしがらみを感じている頃でした。…

「補聴器の満足度が海外に比べてとても低い」…その原因を一緒くたに「販売店の対応の悪さ」とまとめられてしまうのは、今も昔も変わりありません。確かに、お客様が正しく使えるかを別にして、販売することに主眼を置いた販売店があるのは現在も同じです。街のお店で購入された補聴器が全く調整不足である補聴器使用者を目にすることもあります。それが、適当にあしらわれてしまっているケースであることも多分にあります。先日、大学の補聴器外来を担当している中では、対応はきちんとしているものの知識がないために、的外れなサポートをし続けてしまっている兼業店の患者様の対応をしました。全て一から再設定をしたのですが、おそらく、私が対応した後に購入店に戻っても適切な対応は受けられないと判断し、この患者様については、外来で私が以後も継続してサポートすることにしました。…

しかし、これらの問題の根幹にあるのは、販売店ではなく、どこでも販売できてしまう日本の技能者のポジションの低さが原因と考えています。その職業の権限も、その権限を基に生まれる責任も、どちらもあいまいです。日本で補聴器を扱う主たる者は、販売店に在籍する補聴器技能者です。その技能者の調整のさじ加減一つで、全く別物の補聴器になってしまうのが補聴器の怖いところ。しかし、そのような大変な責任のある職業でありながら、適切な技能を学ぶ場もなく、学位も、国家資格もありません。認知度が高いとは言えない業界資格のみが唯一の資格となり、その習得過程でのわずかな学びの場が唯一確立されている教育課程となっています。しかし、その資格が無くても、販売が出来てしまうのが日本の現状です。アメリカにおいては、日本の補聴器供給システムが「適切に販売が行われないことで満足度が低い例」として、紹介されてしまう程です。

意識の高い人が個人で積極的に学びに出かけ、日々の応対から研鑽を積む以外には道がない。基礎や応用力をしっかりと学ぶ場が無いのです。そして頑張ったとしても、職業的地位は低い。真に困っている人の助けになりたいプロフェッショナリズムのある人や店でしか、プロの観点から補聴器による聴覚ケアは受けられません。

この数十年、業界の幹部の方々が、積極的に国家資格化に向けて努力されていますが、それは未だ、日の目を見ていません。しかし、医療界からは統制による抑圧を年々感じています。これは不適切な業者の排除という面の底上げにはとても効果的ですが、更にもう一歩先の可能性の追求という点においては、難しさを感じます。医療界からの統制を考慮すると、どうしても医師の顔色を考えなければならず、やりたいことでも、やるべきではない…という考えが生まれてしまうためです。やはり、真にプロフェッショナリズムのある技能者を増やすには、外部からの統制を受けるばかりで規律するのではなく、独立した権限と責任のある地位を獲得、技能資格の地位向上、そして自浄作用の働く組織等を確立することが欠かせないと考えます。

この秋から新しい試みとして、全国のソニーストア(直営店)にて「イヤホン装着感トークショー」というものを私が行っています。医師によるメディア露出は多くあれども、認定補聴器技能者が業界外で表に出る機会はそう多くありません。「イヤホン」主体のため、補聴器について語ることは多くないのですが、資格を話し、プロフェッショナリズムを核として壇上に立つようにはしています。明日のソニーストア銀座での公演が今年の最終回。気を引き締めて、補聴器技能者として恥じない振る舞いをしてきます。

現在は、業界の関連団体が行う講習や指針が増えてきていますが、まだあまり情報の少なかった10年前に、何らかの参考にしたいと思い入会したのが、このアメリカの団体。今も昔も問題に変わりはありませんが、自らは変わらず襟を正して、プロフェッショナルとしての仕事に邁進していくことを、改めてここに記しておきたいと思います。

「装着感」について全国で私が熱く語る、トークショー&体験会が始まっています

雑誌にて装着感批評を行ったことをきっかけに、Just earの秋冬のジャパンツアーの一環として、札幌を皮切りに、全国5都市を回りイヤホンの装着感について私が語るイベントが10月からスタートしています。

私がジャパンツアーを含めJust earに関することを公の場で広くお話するのは初めてのことですが、「音質」ではなく「装着感」ということにフォーカスしたイベント自体が、おそらく一般的にも初めのことかと思います。本日は2会場目となる「ソニーストア名古屋」に行きました。

1会場目の札幌(10月23日)では、ご来場される方のイヤホン知識や目的、お困り度合いなど、初めての場になるため、準備段階では全体像がつかめず色々とコンテンツを用意しすぎた結果、伝えたいことが伝えきれずに終わってしまったかもしれない…そんな結果と共に、全国ツアーが始まりました。

札幌のイヤホンマニアの方から、「こんなことが知りたい」「これはどうなっているのか」など、トークショーが終わった後の立ち話で、様々知りたい内容をお聞きできたのは、とても幸いでした。「いつか菅野さんに話を聞きたいと思っていた」とのことでしたので、双方に良い場となりました。このイヤホンマニアの方の意見を参考に、ただの再構成ではなくゼロベースでトークショーの内容を作り直し、名古屋入りしました。

札幌での経験から大幅に再構成し、ほぼ作り直しを行った結果、本日の名古屋はお客様と良い感じに繋がりを持てた、そんな印象を受けました。札幌でも機会があれば、再構成したものでもう一度、10月にお越しいただいたお客様にお話できればよいなと思っています。

札幌用の準備は最後の追い込みとして、営業時間終了後から数日間夜中の3時まで資料作りをしていました。札幌以降は日常業務も特殊対応が増える中でもあったため、2週間、毎日3時まで修正作業を行うという異例の時間の使い方をしたため、体の限界との闘いでした。今日の成功で少し肩の荷が下りたかなと思っています。

3会場目となる福岡は、今度の日曜日の11月11日。その後、大阪、銀座と、毎週末続きます。この残りの3会場は本日の名古屋でのお話を持っていきたいと思います。どういうお話をするのかは、改めてご紹介させていただきます。

札幌、名古屋のお客様、ご来場いただきありがとうございました。そして、私のコンサルティングを基に、トークショー後にユニバーサルイヤホンをご購入されたお客様、ご使用された感想をまたどこかで伺えれば幸いです。今まで何個もフィットしないイヤホンを購入されていたとのことでしたので、きっと良い買い物をされたと思います。ありがとうございました。

雑誌MONOQLOでのイヤホン批評について(後編:実際の評価内容)

装着感においては「高価格=高性能」とは限らなかった

今回は、5,000円台から2万円台までの24製品を評価。高価格であれば、全てを満足できるものになっていると思いましたが、結果は、装着感の点では必ずしもそうではなく、かえって、安価な製品の方が、良い場合もありました。耳の形状によっては、落下を考慮する必要のある製品まであり、悪い評価になってしまった製品は「要精密検査」行き製品としてリストアップし、先に進みました。

とんとん拍子には進まず、10時間以上をかけて採点

製品テストに6時間。事前準備と事後調整に4時間。合計10時間を要して評価しました。悪い評価になってしまった製品には、きっと何か理由があるはずと思い、プラスアルファの評価が可能か、更に多角的に検証を行い、再評価しました。その結果、そのイヤホンの想定している使用方法が評価基準と合致していないのだとわかった製品は再評価し、どのように再検証しても、理由が見当たらない製品はそのままとしました。

一例としては、フィットしにくいイヤホンを、なぜフィットしにくいのか考察したものがあります。価格帯やデザイン性そして構造設計の観点から評価した結果、製品のコンセプトが遮音よりも簡単に取り外しができた方が良いと思われる製品だと理解できました。外音を常時取り入れるイヤホンなどは、そもそも遮音しないため、採点項目を除外し評価するなどアレンジしました。

評価の中で見えてきた、本体形状とイヤーピースの理想形

<イヤーピースには、柔らかさと適度なコシが欲しい>
イヤーピースの形には大きく分けて、「お椀型」「寸胴鍋型」「気球型」の3タイプ(勝手に命名)がありました。各機種毎に、薄い柔らかなものから、肉厚の硬いものまで様々。気球型のドームは遮音という点においては理にかなっており、密着具合は良好でした。イヤーピースのみでフィットさせるタイプのイヤホンでは、適切な形状と思いました。

<同一形状のサイズ展開以外に、形状のバリエーションも欲しい>
正円の耳、楕円の耳、縦長の偏平耳など、耳の形は左右でも違うくらい、大きな個人差があるので、縦長なタイプもバリエーションにあると良いです。もしくは、このような形状のお耳の方は、自分に合うイヤーピースを先に用意してからそれに合うイヤホンを探す…という選択方法が適切かもしれません。

<装着感としては、できるだけ耳の中に入る部品は小型であってほしい>
今回のポイントとしては、音を出すドライバー以外のパーツが邪魔をして、しっかりフィットしないことが多々ありました。耳の形は複雑なため、最低限、耳の中に入る部分は、可能な限りシンプルかつ小型であってほしいと思います。もちろん良い音を実現するために必要不可欠な場合には、大きくても致し方ないですが。

<安定性の面では、イヤーピースを支えるパーツがほしい>
安定性を高めるためには、イヤーピースをしっかりと耳に押し込む必要がありますが、雑誌では「ウィング」という言葉で紹介したグリップ力を高める部品もあると、イヤーピースを押し込みすぎなくても安定するので、安定感が悪いと思う方は、「ウィング」のあるタイプがお薦めです。「ウィング」にも、厚み、柔らかさ、形状など、色々な特徴がありますので、ご自身の耳に適したタイプを見つけてください。

<密着性能の高いユニバーサルで気を付けること>
あまりに密着性が高いものは鼓膜への圧が強いようにも感じたため、着けはずしの頻度が多い人には、耳への負担も考慮して選定することを、お薦めしたく感じました。

左右独立型のワイヤレスイヤホンは、これからに期待

<左右独立型のワイヤレスイヤホンは「安定性」が一番重要>
万が一イヤホンが耳から外れた場合、コード付きであれば肩で止まりますが、完全ワイヤレスでは…。このため、「安定性」に優れていることが、大前提であると評価しました。今回批評した中では、ほとんどのイヤホンが、理由があってのものなのか、ビー玉のような丸い形状に全てのパーツが含まれているイヤホンでした。このため、ある程度の大きさの耳であれば良いですが、小さめのお耳の方にはフィットしない懸念を感じました。

<左右独立型ワイヤレスイヤホンは「充電端子周り」の処理もポイント>
充電端子や、その周りの処理は、大半の製品が同じような状況で、装着感よりも充電の安定性が重要視された形状。充電端子の配置場所によっては擦れてヒリヒリするものがありました。全体に改善してもらいたいポイントです。

<総合的に良かったのは2メーカーのみ>
装着感へのアプローチはどちらも異なりましたが、総合的に評価したところ、これならばと思うものは2つのメーカーのみでした。今回、コードありとコード無しのワイヤレスイヤホンを試しましたが、やはりコード無しの方が明らかに利便性は高いので、今後様々な改良が加えられていくことは確実。買い替えていく度に、音だけでなく装着感も性能が上がっていくと感じていただけるものと思います。これからに期待のジャンルであることは間違いありません。

雑誌MONOQLOでのイヤホン批評について(前編:評価方法)

雑誌モノクロ10月号表紙

評論家デビュー作への意気込み…

今回、「テストするモノ批評誌 MONOQLO(モノクロ)10月号 10周年記念号」の巻頭特集ページにて、ユニバーサルイヤホンに対して批評するという初めてのお仕事をいただき、さてさて「装着感」の評価とは、どのように行うべきであろうかとなり、評価方法を検討する事前準備から始めることにしました。

一応「評論家」デビュー作となるだけに、自分で納得のいくものにしたい。そして、この批評の精度が、現在の補聴器やJust earの事業に悪い影響があってもいけません。更に、各メーカーが商品化するまでに、(おそらく)試行錯誤を相当されて出来上がっていると思うだけに、勝手気ままにフィーリングで評価するものでもない…とも考えました。

各製品に敬意をもって評価するために、多角的に「装着感」を批評し、理由ある点数付けを行うことに決めました。

良いイヤホンとは何か

良いイヤホンとは、どのようなものでしょう。イヤホンの装着感については、遮音性能をまず初めに思い浮かべましたが、使用目的は人それぞれであり、小さな音の聴き取りから重低音を望む方、外の音も入りつつBGM代わりに使いたい方まで、個人にとって「良いイヤホンの定義」は必ずしも一致しないため、そのための「装着感」も一様ではないという考えに至りました。

快適性、安定性、遮音性、イヤピースバリエーションで評価

そこで、今回は「装着感」を支える詳細評価として、「快適性」「安定性」「遮音性」の3点に絞ることにしました。そして、様々な耳の形状に合わせられる確率の評価として、「イヤーピースのバリエーション」も加え、合計4項目で評価することに決めました。

そして、補聴器とテイラーメイドイヤホンの両方のフィッティングに精通するイヤーフィッティングのプロとして、耳型採取からフィッティング調整を通して、数多くのイヤホン使用者のお耳に触れてきた経験もフル活用し、自分の耳だけではなく、様々な耳への展開を加味して批評しました。

実際の評価については、「後編」に続きます。

補聴器技術を高めさせてもらった、あなたとの出会い。そして別れ…。

一般的には、補聴器は買い替えを続けて、長いお付き合いになるのですが、その期間は短くあるべきというのが、補聴器業界のごく当たり前の常識。「どんどん買い替えを提案していかないと」と良く勧められるのですが、性格上、そういうことはできず、一度お作りさせていただいた補聴器を長く大切に使っていただきたい、そう思っています。

補聴器技能者という仕事の宿命、それはご高齢の方が、主なお客様のため、年単位でお付き合いを重ねる中で、良い関係を築けて良かったと思っていた矢先に、その方の天命が来てしまい、突然の別れを迎えるというもの。すごく、辛いです。

昨日も、突然の訃報に、肩を落としました。何となくお元気が無いように見えてはいたものの、まさかと…。

このお客様はかなり特別な方。聴力データやお耳の状態、客観的に考えれば、この一択。そういう選択肢しかないお耳でした。しかし、それを選んだ場合、その方のお仕事でその補聴器は使えないことを意味しており、総合的に考えれば、何とか別の方法を模索したいというものでした。そんな中、当店のお客様からのご紹介で来店されました。

医療機関から紹介された補聴器専門店での試聴結果や提案された補聴器は、特におかしくはありませんでした。前述の通り、客観的に考えれば、適切。でも・・・その方のお仕事を考えれば、私としては「あり得ない」選択でした。

とはいえ、他の提案を模索できるほど、選択肢のあるお耳でもなく…。

今になって思えば、良くひらめいたなと思いますが、「この手法を実現すれば、不可能を可能にできる。」ピーンと、アイデアが頭に浮かんだのですね。通常の補聴器技能者ではありえない方法を編み出して、補聴器を製作しました。かなりトリッキーな作り方になるため、ご本人に説明し製作意図へ同意いただき、メーカーの設計者にも頼み込み製作に漕ぎ着けました(一度は跳ね返された記憶がありますが…)。

どうして、あんなトリッキーな手法を思いついたのだろうと、想いを巡らせてみると、それは、私が補聴器だけでなく、テイラーメイドのイヤホンの仕事に、かなり、のめり込んでいたからだと思います。一般のお客様から、著名アーティストまで、年間最高1,000人の耳型を採取したりして、耳の特徴が嫌でも体に刻み込まれました。たった一度の結果のみが求められる言い訳が通用しない現場も経験しました。そんな経験が活かされ、「この方法を使えば、いいんじゃないか」と、後にも先にも、このお客様のために考案した技法を実施しました。

「小さい耳に小さな耳あな型補聴器を作る。」これは、かなり非現実的ですね。でも、それをこのお客様では実現できた。私の経験を総動員したからこそ、できた。そして、喜んでいただけた。一般的な医療機関を通したルートでは解決できなかった課題を、プライベートで紹介を受けて、対応できた。…痛快でした。

後にも先にも、この方だけのために行った技法により、出来上がった世界に一つの目立たない補聴器。広告宣伝で活用される「小型」や「目立たない補聴器」などが一蹴できるほどの、完成度。自分にとっては「作品」と呼んでも過言ではない出来上がりであったため、もっと使っていただきたかった…。でも天命には抗えませんね。

故人には…、どうぞ安らかに…、そして、私に技術を高める機会を与えてくださったことに感謝し、今夜のお酒は、献杯です。

Just earで全国を巡る、ジャストサイズな1カ月半【前半編その1:スタイリストさんについて語る】

「また体験記のようなブログ、今回も書くんですか?」との一声をいただきましたので、全国ツアーの前半について、まとめてみることにしました。

「ジャストサイズな日々(2つの意味を込めて…)」

まず今回は、その名の通り「Just fit」という意味のお話。
先週末からスタートした全国5か所にあるソニーストアを巡る、カスタムイヤホン「Just ear」の全国ツアー。先週の会場である札幌を皮切りに、この土日は東京にあるソニーストア銀座でも、販売会を行いました。(初回の札幌は…出張前日になって思いましたが、最後の会場にすべき場所でした…。なぜかと言えば、まだ季節は春が明けたばかりで、とても寒かったから。一年前は最後の会場で、ちょうど暑い中に心地よい気温で、良い締めくくりが出来たのですが、今年はまさかの11度。本番の夏に備えて、最後に取っておくべきオアシス的会場でした…。企画段階で気づかず、残念…。)

札幌はソニーストアのスタイリストさんに、Just earのオーナーさんがいるのが特徴的。一回目の販売会で、ご注文いただきました。遠方であるにもかかわらず、この方がいるから、札幌は一安心。そんな気持ちでいます。
このスタイリストさんにご注文いただいたのは、1年前。ちょうど大幅な納期をいただく時期で、前回の秋の販売会ではタッチの差で、納品が間に合いませんでした。感想を聞けずにこの夏の販売会を迎えることになったため、頼まれもせず、特別にこの方の耳型をメーカーから取り寄せて、持参してみることにしました。休憩時間を見計らって、フィッティング確認させていただこうと…。
その結果、Just earとしては、いい感じのフィット感でした。もし、日によって違和感を感じても、修正をするほどのものではないことが分かりました。引き続き、この方にお任せできれば…そういう安定感を当日の接客でも思いました。若いのに、流石です。

そして、この2日間の、銀座での出来事。
まず、予約状況でいえば、さすが本家本元の「銀座」。追加した2日目も、ほぼ予約満員の状況。特別に更に増枠した来月の枠も、ほぼ満員とのこと。こちらも、札幌に引き続き、流石の一言。流石さすがの「銀座」です。
今まで、銀座では、「受注のみの販売会」で、耳型採取は受注会の前後にお客様に青山店にお越しいただくようにしていました。そのためか、銀座ではあまり根詰めた業務をしていなかったため、スタイリストさんとは少し距離を感じていたのですが、今回はグッと縮まった印象を受けました。

ストア銀座を一言でいえば「総合力」と感じました。2日間メインでJust earの販売会を担当頂いたお二人とは、アイコンタクトとジェスチャーで、「少し待ってください」、「お耳、確認しました」などのやり取りが出来ました。1分1秒を削りたい私としては、とても重要。そして、この二日間にメインの担当ではなかった方からも、「お疲れ様です!」「お客様、お呼びしましょうか?」と、お声がけいただけたこと、とてもありがたく感じました。特に、疲労困憊の時の「お疲れ様です!」と、さらっとした業務用語ではない、相手の気持ちを推し量って声をかけられる気持ち良さとその表情、特に大きなリアクションはしなかったと思いますが、骨身に沁み、癒されました。

そして2日目の最後には、エレベーター前で、5階のスタイリストさん皆さんにお見送りいただくという、手厚いお見送り。中でも、初日にミーティングの進行役をされたスタイリストさんから「一名様、7月にご予約いただきました!」という共有のご連絡、とても嬉しかったです。

メインで担当頂いた方だけではなく、5階フロア皆さんとの連携で成しえた成功。(もちろんプロジェクトリーダーの松尾さんやストア本部の方の事前準備の功績は言うまでもなく…)
全国ツアーの後半戦に繋がる良いイベントとなりました。

次回は「ジャストサイズ」というキーワードを思いついたきっかけを軸に、続きを語りたいと思います。

一人ではない

先週末、数カ月ぶりにお会いしたのは突発性難聴で担当させていただいていたお客様。片耳のみ、聞こえにくくなり、その支えとなる補聴器の作成を担当しました。

使い始めは、仕事の間に使用していると、疲れてしまい、夜はバタンキューになっていたとのこと。音が入ってくることに脳が慣れるまで、時間がかかったのかもしれません。今では、突発性難聴になる前と同じくらいの感覚になったとお聞きできたこと、とても嬉しかったです。なぜかと言えば、私も突発性難聴の経験者だから。同じ境遇の人を救えてよかったなと。

私の場合は2度、突発性難聴になりましたが、幸いなことに、どちらの時も元通りに近い状態に戻ることが出来ました。私の突発性難聴では、片耳から入る全ての音が、扇風機の前で声を発した時のような、震える音に聞こえてしまう症状でした。この仕事をしていたからこそ、初期症状に、とっさに気づいたのかもしれません。なんとも言えない状態でした。
一度目は翌日すぐに耳鼻科の先生に診てもらったので、すぐに復活しましたが、二度目は新規事業の立上げ等も重なり全く自分を優先することが出来ず、治療を開始出来たのは少し時間が経ってからでした。
その結果、一度目のようにすぐに治ることは無く、時間を要しました。耳鳴りは残ってしまいましたが、何とか聴力は元通りに戻りました。この時も、耳鼻科の先生が支えとなってくれました。

治るのが一番ですが、そうならない方が多いのかもしれません。私の所にいらっしゃるのは治らなかった方だけなので正確な数値は分かりませんが。そういう時に一番に頼りになるのは、私達、補聴器技能者。そう胸を張って言いたいところですが、なかなか補聴器では救えないことも多いのが現状です。悪くなりすぎては補聴器では意味を成さないこともあるからです。

しかし、先週末のお客様は救うことができた。しかも、突発性難聴になる前と遜色ない状態に。彼にとっては、きっと私達のの存在が大きな支えになったのではないかと、もしくは、そうであればよいなと、そう思いました。

困ったときは相談してほしい。万が一かもしれないけれど、私たちがあなたの助けになることができるかもしれないから。

補聴器からJust earまで、ドラマチックな1週間

先週は前半部分で今年のテーマに合致する解決すべき課題が見えてきた反面、後半は今まで取り組んできたことへの良い効果が感じ取れた、そんな1週間でした。

本当に色々なことが起きましたが、1つ挙げるとすれば、補聴器メーカーを退職された方から、補聴器相談を希望されている方をご紹介いただけたことです。あり得ないこともないお話…かもしれません。しかし、メーカーの方々は、全国の補聴器専門店のことを、良い面も悪い面も理解されています。特に、長年業界にいて、何メーカーもの所属経験があり、上層部にもいた業界の重鎮の方であれば…。今回はそのような「重鎮」の方からのご紹介でした。

現役中であれば、「自社のものを販売してほしいから…」など、ご紹介いただける理由は理解できます。しかし、引退された今であれば、そのような必要はありません。むしろ、以前ブログで書きましたが、紹介する場合は、デメリットも生じます。そのため、「売ってくれるだけの店」にはご自分の信用に傷がついてしまうリスクもあり、安易には紹介はされないと思います。

現役中に深い親交があったのであれば、紹介しやすいという理由で、ご紹介もあり得ると思います。しかし、退職後にお会いする機会はあったものの、現役当時に深い交流があったという間柄ではありませんでした。そのため、カルテに書いていただいたご紹介者名には、驚きを隠せませんでした…。

ご近所のお客様であれば理由は分かるのですが、ご来店には1時間以上もかかる遠方のお客様であったので、こちらも普通ではありません(青山店のお客様という点では、高速道路や新幹線をご利用されるお客様もおり、割と「近距離」のお客様ではありますが…)。お住まいと青山店の間には、いくつもの補聴器専門店がある中、そこを飛び越えて、わざわざご紹介いただいたわけです。

理由がわからなかったので、「ご紹介者の方は当店について何かお話されていましたか?」とお聞きしたところ、「補聴器は調整次第。この店には腕のいい人がいるから。」と紹介理由をお話されたとのことでした。

その一言を聞き、真摯に難聴と補聴器に向き合ってきてよかったなぁ…と思いました。最近はお酒をまた飲むようになりましたが、その日のお酒が格別に美味しかったのは、言うまでもありません。このところ、信頼していた方々が相次いで引退や転職をされてしまったのですが、この方々ともこのような良い再開が出来ればと思いました。

補聴器とJust earとノーマライゼーション

「ヒアラブルからノーマライゼーションの実現へ…」
今回はイヤホンやJust ear、補聴器にまつわるお話です。

このところ、イヤホン周辺で起きている変化について、補聴器屋として感じるところは、イヤホンが段々と「補聴器に近づいている」ということです。
「ケーブルレスの充電式イヤホンを耳に入れるだけ」「イヤホンと同じ形の集音機が大手メーカーから登場」など、行きつく先は、耳に何かを入れている「ヒアラブル社会」ではないかと思っています。
補聴器はかなりの変革を遂げているものの、「障害や老いを認める器具」として見られてしまい、補聴器を必要とする難聴者が使うには、なかなかのハードルがあります。
しかし、音楽用イヤホンの力で「ヒアラブルな時代」に社会が変われば、補聴器を入れることへの抵抗が、ぐんと低くなるのでは…そう思っています。
「イヤホンが補聴器に似た機能を持ってしまったら、菅野さんには脅威では?」と、時々質問されるのですが、むしろ歓迎だと答えるようにしています。
補聴する器具を使う方が増えれば、「医療機器の補聴器」を使う方も必然的に増えていくのですから…。

障害を持つ人と持たない人が平等に生活する社会を実現する「ノーマライゼーション」という考え方が福祉の分野にはあります。
Just ear事業を青山店で始めるにあたり、開発責任者の松尾さんからは「補聴器のお客様に迷惑にならないか」とご心配いただきましたが、私にはこのノーマライゼーションの考えがあったので、むしろ歓迎であることを伝えた経緯があります。実際には色々なハードルがまだあるのですが、解決方法をつかめているので大丈夫だと思っています。

今回のブログは、先日配信のメルマガにて書いたものです。カスタムイヤホン(カスタムIEM)という新しい事業に取り組んでいるのは、ヒアリングケアに関わる事業領域の拡大という側面もありますが、根底にはこの「ノーマライゼーションへの挑戦」という想いがあることを知っていただきたく、ブログにも転載することにしました。「安く販売する」という安直な方法ではなく、どうしたら補聴器をもっと使ってみよう、補聴器の相談に行ってみようと思ってもらえるのか…根本を変えるために、日々試行錯誤をしながら、挑戦し続けています。

頼られる仕事に、やりがいを感じる。

東京ヒアリングケアセンターの補聴器のお客様は、とても困って来店される方が多い。ほとんど「広告」というものをしていないため、なかなか簡単には、お店に辿り着きません。大体がご紹介によるものです。

今日のブログは、最近いただいた、この「ご紹介」に関するお話です。

今日お電話いただいたお客様からのご紹介

最初にお会いしたのは、もう8年以上前ではないかと思います。この方も、青山店開業前より担当させていただいているお客様からのご紹介でご来店されました。「奥様」繋がりのネットワークです。

このお客様から、本日電話が入ったのは資料を一式送ってほしいというものでした。「知り合いのご家族が補聴器を買ったものの、合わなくて外出しないようになってしまった。あなたの補聴器は調子良さそうだから、紹介してほしいと言われて…。」とのこと。少し遠方になるため、通うのは大変になることをお話しても、行きたいと仰られたそうで、まずは資料をお渡しするということになりました。

ある方には良い効果が出ても、別の方にも同じ効果が出るとは限らないのが、補聴器の難しいところ。でも、何らかの理由で、補聴器の効果を正しく感じられていなかっただけで、良い効果を得る可能性がある方が多くいることも事実。遠くても補聴器の相談に伺いたいと仰っていただいているこの方が、後者であることを願いつつ、万全の状態でご相談に臨みたいと思いました。

先週ご紹介いただいたお客様は、経済界で要職を務められた方。

以前にも、ビジネスマンであれば誰もが知る程の人をご紹介いただいたこともあります。今回もそのような方をご紹介いただくこととなりました。著名な方を担当させていただくことも多く、以前はそのこと自体に喜びを感じる時もありましたが、現在は著名な方を担当すること自体には、特段の喜びはありません。

それよりも、そのような方々は一流の仕事に普段から触れており、独自の物差しをお持ちです。紹介をする場合、万が一には相手に迷惑をかけることもあります。このため紹介をするに値すると判断しない限り、闇雲には紹介いただけるものではないと思っています。特に、補聴器のように効果が不確かな製品の場合には…。厳しい審美眼をお持ちの方に、「紹介するに値する相談先である」と、信頼をいただけていることに、今は喜びを感じます。

このような困っている方々の役に立つ仕事ができることに、とてつもなく、日々、やりがいを感じるのです。

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