専務 菅野聡のブログ
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数年前、新たに患者様をお任せいただけるようになった耳鼻咽喉科の先生から初めてご紹介いただいた患者様がいます。この患者様については、お耳の状態やお悩みが複雑なため、当時、ご購入前の補聴器の検証に数か月を要しました。最終的に良い状態に落ち着きましたが、長期にわたるCOVID-19の影響もありその後ご来店されなくなってしまったため、やっぱり使わなくなってしまったのだろうかと心配していたところ、つい先日お電話をいただくことができました。このお客様はどうされているかなと、ふとお顔が思い浮かぶと電話が鳴る、という経験があるのですが、今回もまさに…。
長期間入院をされていたことやCOVID-19の感染が怖くて外出を自粛していたとのこと。外出をほとんどしなくなり、最近物忘れも酷くなってきたとのお話もありました。私が現在勉強している中で、高齢者において人と交流する社会参加は非常に重要であることを理解していたため、どのようなことから再開できそうか、色々と助言をさせていただきました。
コロナ禍で外出が制限され、会話の機会が減ってしまったことから、同じようなお悩みを抱えていらっしゃる方が多いように感じています。国内外の論文を読んでみると、難聴と認知機能の関係を明らかにしている研究が沢山あることに気づきます。専門医の診断が必要ですが、物忘れや難聴について気になるところがあれば、補聴器が必要なサインかもしれません。社会参加が減っていないかも思い浮かべてみてください。
追伸:このところ感染者数が下火のまま推移しており、青山本店にはメンテナンスの目的でお久しぶりのお客様が多くご来店されるようになりました。ご予約が立て込んでいる日は、お電話に出ることができず申し訳ございません。もし、青山本店に電話がつながらない場合は、まずは東急プラザ渋谷店(03-3461-4133・年中無休・11:00-20:00)へご連絡ください。聞こえにくくてお持込される補聴器の大半は、補聴器に耳垢が多量に詰まっていることで断音状態になっています。しばらくメンテナンスをされていないようであれば、感染者数が落ち着いている今のうちのご来店をお薦めします。
昨年は7月に朝日新聞さん、8月に読売新聞さんと大手新聞社に取材記事が掲載され大変驚きましたが、今回はなんとNHKさんのゴールデン番組に出演させていただくという大役をいただきました。映像関係の取材はとても苦手なのですが、今回は良い意味で、程よくカットされていたため、落ち着いて観ていられました。
補聴器は、「補聴器」という名称自体で避けられてしまう、かなり特殊な嫌われものです。名称という根本の部分で否定され続けているモノは、そうそうないのではないかと思います。なぜ、こんなにも補聴器は嫌われてしまうのか。これは一言ではお話しできない程に問題があるためです。
この『所さん!大変ですよ。』は30分番組です。30分でどのように取り上げられるのかと思いましたが、イヤホンによる外耳炎から始まり、松崎しげるさんによる難聴による深刻な悩みと補聴器を使った効果、認知症と難聴に関する世界的に権威のある医学雑誌のエビデンス、認知症の予防に補聴器が役立つこと、そして最新の補聴器へと、非常に分かりやすく視聴者を飽きさせないストーリー展開に感心しました。
ネガティブな補聴器イメージだけが独り歩きをしてしまいますが、聞き取りにくいことで、社会的に孤立するということが、海外の論文でも発表されています。補聴器について誤解されている方、嫌煙されている方に、一歩踏み出すきっかけになったのではないかと思いました。是非再放送も見ていただきたい番組です。このような方が周囲にいらっしゃれば、再放送をぜひお薦めしてみてください。
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番組名:所さん!大変ですよ
NHK総合 毎週木曜日 午後7時30分~
VTR出演回
「コロナ禍、耳の病気が急増!?」
・6月17日(木)午後8時18分~
・再放送:6月24日(木)午前0:29~
https://www.nhk.jp/p/taihentokoro/ts/5RG1V58XZQ/episode/te/WYJ7NQGPMR/
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▼補足情報
認知機能と加齢性難聴、そして社会的孤立との関連等も解説されていました。この部分についてより詳しい情報に興味をお持ちになりましたら、以下の論文で詳細に報告されています。今回の番組で取り上げられていた医学雑誌の最新版『Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission』に参考文献として取り上げられているイギリスの論文になります。難聴のまま補聴器を装用しなかった方に限り、社会的な孤立が有意に認められた結果について報告されています。
『Association of Cognition and Age-Related Hearing Impairment in the English Longitudinal Study of Ageing』(Jaydip Ray, PhD, MS; Gurleen Popli, PhD; Greg Fell, BSc, MSc)September 6, 2018
https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/fullarticle/2698895
不安や不満そして疑問など、なかなかもどかしい日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。高齢期のお客様が中心となる補聴器業務を生業とする専門店を運営する者として、なかなか色々と考えることが多い日々を過ごしております。
今年の大河ドラマの主人公は渋沢栄一。当社の渋谷の店舗がある商業施設は東急プラザになりますが、その東急の祖となる会社の創立に関わっていたのも、この渋沢栄一。明治期に数百もの企業の立上げに関わった渋沢は著書の中で「社会とは、そもそも矛盾しているものであり、正論を主張しすぎると、簡単に壊れてしまう」ということを述べているそうです。今のコロナ禍では、正論を主張したくなることばかりですが、渋沢のこの言葉に当てはめれば、それはそれで社会を壊しかねない…本日から一部の百貨店や商業施設が営業拡大に動かざるを得なかったことは、まさにこのようなことが当てはまるのかもしれません。個人個人のレベルで、どうすべきなのかを真剣に考えて行動することが、必要ですね。
青山本店は路面店であるため、本日より営業を再開いたしましたが、今現在の私個人の行動指針としては、無理をしすぎず、考えすぎず、余力をもつこと。その余力を研究の時間や次の準備に当てる。悲観も楽観もせず、立場の異なる人とは議論はしても対立はせず、コロナの先にある社会のみを、ただ見据えて、実直に行動する。自分には、これしかないかなと思っています。
外出の自粛はとても大切なことですが、しすぎてしまうと精神的にも認知機能にも、影響があります。コロナのことも考えつつ、適度な運動やコミュニケーションの時間もとるようにしてください。日光浴をして、体内でビタミンDを生成することも、実はとても大切。窓辺で5~15分程度でも日光浴をされることでもよいそうです(今お世話になっている医学研究者のお医者さんより教わりました)。
最後に1つだけ、このブログを読んでいただいた方へのプレゼントがあります。
この休業期間中に、散歩をしていたところ、公園で四つ葉のクローバーを見つけました。四つ葉のクローバー、見たことがありますか。私は初めてでした。良かったら、下の中から、探してみてください。