専務 菅野聡のブログ
専務 菅野聡のブログ
ブログを更新しようと準備をしていたところ、公開を忘れたままの6月の下書き原稿が残っていることがわかりました。1カ月も前のことで少し記憶が曖昧ですが、文章としては、伝えたいことがまとまっており、ちょうど一カ月前の6月18日に作成したものであったこともあり、公開することにしました。型どり業者、型どり屋さん、フィッティングのプロ…フィッティングを主業務として行う者への評価は人それぞれ。このブログから、私の仕事について何らか感じていただけるものがあれば嬉しいです。
===(6月18日に、当日の出来事についてまとめたブログ)===
今日、とある仕事のことでスタッフに対して、先日読んだ雑誌に出てきた近江商人の「三方よし」について、話をしました。先週起きたJust earの耳型採取での出来事もまた、「三方よし」の考えから発生したものかなと思い、今日のブログはそのことに関するお話です。
先日ご紹介した「わたしのオト」の特集でも書かれていますが、Just earの耳型採取は他のそれとは大きく異なります。耳型採取時にセッティングする特殊なヘッドゲージを用いるJust earの耳型採取。耳型採取とは耳の型を採取するという行為が本来は基本の仕事ですが、Just ear用の耳型採取では大きなダイナミックドライバーやその他の部品を適切に耳に収めるために、特殊な器具を用いて、設計者やデザイナーの視点も併せ持ち、採取しています。「よい音のために」できるだけよいフィット感になるような採取法をベースに、さらに、大きな部品をできるだけ美しく収めるために、そして、部品が適切に組み込まれるように現実性も考慮して、コンマミリ単位又は、それ以下で、セッティングを行います。
先日のTwitterにて「120%の力を込めて耳型採取をしている」とツイートしましたが、先週は200%の力を込めて採取するケースが多々続きました。120%という言葉には、毎回全てのお客様に100%全力投球しているという意味を込めました。200%とは、100%の全力投球だけでは全く歯が立たない難しい耳だったという意味です。お一人に対して200%の集中力を注ぐのは、その字の通り「心血を注ぐ」行為で、大きな疲労を伴うもので、とてつもなく疲れました。何も考えずに採取すればすぐに採取できますが、できるだけ良いフィット感に、そして完成品が美しく、製作者にとっても作りやすく…言い換えれば今日スタッフに話した「三方よし」に通じる考えで耳型採取をしているのだなと感じました。
本日はJust earの音質調整モデル(XJE-MH1)の納品日。XJE-MH1のお客様の楽しみは、音質コンサルタント(メーカーエンジニア)に対して、完成品でも音質のリクエストをできること。私にとって興味あるところは、フィッティングの完成度を対面で確認できること。特に、装着感とともに突き詰めた中で完成した、イヤホン装着後の美しさの出来栄えを見ること。おそらく日本で、いや世界でここまで、たったイヤホンの耳型採取のために、心血を注ぐ技能者はいないだろうなと思いつつ、テキストだけでは伝わりませんが、今日納品させていただいたお客様のJust earは、とてもきれいで、苦労が報われた瞬間でした。
昨日、医療機関からの依頼で通われていた患者様の補聴器フィッティングが完了しました。
所要期間は3ヶ月。色々と課題の多いお客様でしたが、最終的にはご満足いただける状態となり、医療機関に対して販売後の報告書を作成し、全ての応対が完了しました。
ここ数年で知り合った先生から、患者様への補聴器フィッティングの依頼がこのところ急に増えているのを感じます。どうやって合わせていこうか、この状況では補聴器を販売しない方がいいのではないか…そんなところから考えて応対している私の姿勢が、ちょうど適合しているのかもしれません。
どうやって売ろうか…という一般的な考えが、良い意味で抜けているという見方もあります。
(抜けすぎてしまうと、ボランティアになりかねない職業でもあり、そこは一線を引いています。)
補聴器は医療機器であるため、医療機関との連携はよくあります。
掛かり付けや、過去に受診したことのある耳鼻科があれば、補聴器の適合のために、お客様のご高診依頼をします。
しかし、店舗からのお手紙を持参いただいても、中にはこちらに戻していただけず、出入りの補聴器業者に紹介してしまう医療機関もあり、なかなか日本に適切なシステムが機能しない原因の一端が見える時もあります。
以前のブログにも書きましたが、資格のポジションが低すぎるために、こちらのお客様をご紹介しているにも関わらず、このような事態を招いてしまうのだと思います。
そのような中でも、当店をよい紹介先とご信頼いただけている先生とは、これからも関係性を高め、聴覚ケアの可能性を追い求めたいと思います。
医療機関からの依頼により、2月から開始した患者様に対する補聴器のフィールドテストが終了しました。
ご自宅、職場、帰省先…様々テストを繰り返し、トータルのテスト期間は44日間に。結果としては全て問題なくクリア。医療機関の評価も問題なく、ご購入の運びとなりました。
帰り際のお客様の一言。「聞こえると…人生、変わりますよね。」
その通りのお言葉です。お役に立てて良かったです。