専務 菅野聡のブログ

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「装着感」について全国で私が熱く語る、トークショー&体験会が始まっています

雑誌にて装着感批評を行ったことをきっかけに、Just earの秋冬のジャパンツアーの一環として、札幌を皮切りに、全国5都市を回りイヤホンの装着感について私が語るイベントが10月からスタートしています。

私がジャパンツアーを含めJust earに関することを公の場で広くお話するのは初めてのことですが、「音質」ではなく「装着感」ということにフォーカスしたイベント自体が、おそらく一般的にも初めのことかと思います。本日は2会場目となる「ソニーストア名古屋」に行きました。

1会場目の札幌(10月23日)では、ご来場される方のイヤホン知識や目的、お困り度合いなど、初めての場になるため、準備段階では全体像がつかめず色々とコンテンツを用意しすぎた結果、伝えたいことが伝えきれずに終わってしまったかもしれない…そんな結果と共に、全国ツアーが始まりました。

札幌のイヤホンマニアの方から、「こんなことが知りたい」「これはどうなっているのか」など、トークショーが終わった後の立ち話で、様々知りたい内容をお聞きできたのは、とても幸いでした。「いつか菅野さんに話を聞きたいと思っていた」とのことでしたので、双方に良い場となりました。このイヤホンマニアの方の意見を参考に、ただの再構成ではなくゼロベースでトークショーの内容を作り直し、名古屋入りしました。

札幌での経験から大幅に再構成し、ほぼ作り直しを行った結果、本日の名古屋はお客様と良い感じに繋がりを持てた、そんな印象を受けました。札幌でも機会があれば、再構成したものでもう一度、10月にお越しいただいたお客様にお話できればよいなと思っています。

札幌用の準備は最後の追い込みとして、営業時間終了後から数日間夜中の3時まで資料作りをしていました。札幌以降は日常業務も特殊対応が増える中でもあったため、2週間、毎日3時まで修正作業を行うという異例の時間の使い方をしたため、体の限界との闘いでした。今日の成功で少し肩の荷が下りたかなと思っています。

3会場目となる福岡は、今度の日曜日の11月11日。その後、大阪、銀座と、毎週末続きます。この残りの3会場は本日の名古屋でのお話を持っていきたいと思います。どういうお話をするのかは、改めてご紹介させていただきます。

札幌、名古屋のお客様、ご来場いただきありがとうございました。そして、私のコンサルティングを基に、トークショー後にユニバーサルイヤホンをご購入されたお客様、ご使用された感想をまたどこかで伺えれば幸いです。今まで何個もフィットしないイヤホンを購入されていたとのことでしたので、きっと良い買い物をされたと思います。ありがとうございました。

雑誌MONOQLOでのイヤホン批評について(後編:実際の評価内容)

装着感においては「高価格=高性能」とは限らなかった

今回は、5,000円台から2万円台までの24製品を評価。高価格であれば、全てを満足できるものになっていると思いましたが、結果は、装着感の点では必ずしもそうではなく、かえって、安価な製品の方が、良い場合もありました。耳の形状によっては、落下を考慮する必要のある製品まであり、悪い評価になってしまった製品は「要精密検査」行き製品としてリストアップし、先に進みました。

とんとん拍子には進まず、10時間以上をかけて採点

製品テストに6時間。事前準備と事後調整に4時間。合計10時間を要して評価しました。悪い評価になってしまった製品には、きっと何か理由があるはずと思い、プラスアルファの評価が可能か、更に多角的に検証を行い、再評価しました。その結果、そのイヤホンの想定している使用方法が評価基準と合致していないのだとわかった製品は再評価し、どのように再検証しても、理由が見当たらない製品はそのままとしました。

一例としては、フィットしにくいイヤホンを、なぜフィットしにくいのか考察したものがあります。価格帯やデザイン性そして構造設計の観点から評価した結果、製品のコンセプトが遮音よりも簡単に取り外しができた方が良いと思われる製品だと理解できました。外音を常時取り入れるイヤホンなどは、そもそも遮音しないため、採点項目を除外し評価するなどアレンジしました。

評価の中で見えてきた、本体形状とイヤーピースの理想形

<イヤーピースには、柔らかさと適度なコシが欲しい>
イヤーピースの形には大きく分けて、「お椀型」「寸胴鍋型」「気球型」の3タイプ(勝手に命名)がありました。各機種毎に、薄い柔らかなものから、肉厚の硬いものまで様々。気球型のドームは遮音という点においては理にかなっており、密着具合は良好でした。イヤーピースのみでフィットさせるタイプのイヤホンでは、適切な形状と思いました。

<同一形状のサイズ展開以外に、形状のバリエーションも欲しい>
正円の耳、楕円の耳、縦長の偏平耳など、耳の形は左右でも違うくらい、大きな個人差があるので、縦長なタイプもバリエーションにあると良いです。もしくは、このような形状のお耳の方は、自分に合うイヤーピースを先に用意してからそれに合うイヤホンを探す…という選択方法が適切かもしれません。

<装着感としては、できるだけ耳の中に入る部品は小型であってほしい>
今回のポイントとしては、音を出すドライバー以外のパーツが邪魔をして、しっかりフィットしないことが多々ありました。耳の形は複雑なため、最低限、耳の中に入る部分は、可能な限りシンプルかつ小型であってほしいと思います。もちろん良い音を実現するために必要不可欠な場合には、大きくても致し方ないですが。

<安定性の面では、イヤーピースを支えるパーツがほしい>
安定性を高めるためには、イヤーピースをしっかりと耳に押し込む必要がありますが、雑誌では「ウィング」という言葉で紹介したグリップ力を高める部品もあると、イヤーピースを押し込みすぎなくても安定するので、安定感が悪いと思う方は、「ウィング」のあるタイプがお薦めです。「ウィング」にも、厚み、柔らかさ、形状など、色々な特徴がありますので、ご自身の耳に適したタイプを見つけてください。

<密着性能の高いユニバーサルで気を付けること>
あまりに密着性が高いものは鼓膜への圧が強いようにも感じたため、着けはずしの頻度が多い人には、耳への負担も考慮して選定することを、お薦めしたく感じました。

左右独立型のワイヤレスイヤホンは、これからに期待

<左右独立型のワイヤレスイヤホンは「安定性」が一番重要>
万が一イヤホンが耳から外れた場合、コード付きであれば肩で止まりますが、完全ワイヤレスでは…。このため、「安定性」に優れていることが、大前提であると評価しました。今回批評した中では、ほとんどのイヤホンが、理由があってのものなのか、ビー玉のような丸い形状に全てのパーツが含まれているイヤホンでした。このため、ある程度の大きさの耳であれば良いですが、小さめのお耳の方にはフィットしない懸念を感じました。

<左右独立型ワイヤレスイヤホンは「充電端子周り」の処理もポイント>
充電端子や、その周りの処理は、大半の製品が同じような状況で、装着感よりも充電の安定性が重要視された形状。充電端子の配置場所によっては擦れてヒリヒリするものがありました。全体に改善してもらいたいポイントです。

<総合的に良かったのは2メーカーのみ>
装着感へのアプローチはどちらも異なりましたが、総合的に評価したところ、これならばと思うものは2つのメーカーのみでした。今回、コードありとコード無しのワイヤレスイヤホンを試しましたが、やはりコード無しの方が明らかに利便性は高いので、今後様々な改良が加えられていくことは確実。買い替えていく度に、音だけでなく装着感も性能が上がっていくと感じていただけるものと思います。これからに期待のジャンルであることは間違いありません。

雑誌MONOQLOでのイヤホン批評について(前編:評価方法)

雑誌モノクロ10月号表紙

評論家デビュー作への意気込み…

今回、「テストするモノ批評誌 MONOQLO(モノクロ)10月号 10周年記念号」の巻頭特集ページにて、ユニバーサルイヤホンに対して批評するという初めてのお仕事をいただき、さてさて「装着感」の評価とは、どのように行うべきであろうかとなり、評価方法を検討する事前準備から始めることにしました。

一応「評論家」デビュー作となるだけに、自分で納得のいくものにしたい。そして、この批評の精度が、現在の補聴器やJust earの事業に悪い影響があってもいけません。更に、各メーカーが商品化するまでに、(おそらく)試行錯誤を相当されて出来上がっていると思うだけに、勝手気ままにフィーリングで評価するものでもない…とも考えました。

各製品に敬意をもって評価するために、多角的に「装着感」を批評し、理由ある点数付けを行うことに決めました。

良いイヤホンとは何か

良いイヤホンとは、どのようなものでしょう。イヤホンの装着感については、遮音性能をまず初めに思い浮かべましたが、使用目的は人それぞれであり、小さな音の聴き取りから重低音を望む方、外の音も入りつつBGM代わりに使いたい方まで、個人にとって「良いイヤホンの定義」は必ずしも一致しないため、そのための「装着感」も一様ではないという考えに至りました。

快適性、安定性、遮音性、イヤピースバリエーションで評価

そこで、今回は「装着感」を支える詳細評価として、「快適性」「安定性」「遮音性」の3点に絞ることにしました。そして、様々な耳の形状に合わせられる確率の評価として、「イヤーピースのバリエーション」も加え、合計4項目で評価することに決めました。

そして、補聴器とテイラーメイドイヤホンの両方のフィッティングに精通するイヤーフィッティングのプロとして、耳型採取からフィッティング調整を通して、数多くのイヤホン使用者のお耳に触れてきた経験もフル活用し、自分の耳だけではなく、様々な耳への展開を加味して批評しました。

実際の評価については、「後編」に続きます。