専務 菅野聡のブログ

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補聴器からJust earまで、ドラマチックな1週間

先週は前半部分で今年のテーマに合致する解決すべき課題が見えてきた反面、後半は今まで取り組んできたことへの良い効果が感じ取れた、そんな1週間でした。

本当に色々なことが起きましたが、1つ挙げるとすれば、補聴器メーカーを退職された方から、補聴器相談を希望されている方をご紹介いただけたことです。あり得ないこともないお話…かもしれません。しかし、メーカーの方々は、全国の補聴器専門店のことを、良い面も悪い面も理解されています。特に、長年業界にいて、何メーカーもの所属経験があり、上層部にもいた業界の重鎮の方であれば…。今回はそのような「重鎮」の方からのご紹介でした。

現役中であれば、「自社のものを販売してほしいから…」など、ご紹介いただける理由は理解できます。しかし、引退された今であれば、そのような必要はありません。むしろ、以前ブログで書きましたが、紹介する場合は、デメリットも生じます。そのため、「売ってくれるだけの店」にはご自分の信用に傷がついてしまうリスクもあり、安易には紹介はされないと思います。

現役中に深い親交があったのであれば、紹介しやすいという理由で、ご紹介もあり得ると思います。しかし、退職後にお会いする機会はあったものの、現役当時に深い交流があったという間柄ではありませんでした。そのため、カルテに書いていただいたご紹介者名には、驚きを隠せませんでした…。

ご近所のお客様であれば理由は分かるのですが、ご来店には1時間以上もかかる遠方のお客様であったので、こちらも普通ではありません(青山店のお客様という点では、高速道路や新幹線をご利用されるお客様もおり、割と「近距離」のお客様ではありますが…)。お住まいと青山店の間には、いくつもの補聴器専門店がある中、そこを飛び越えて、わざわざご紹介いただいたわけです。

理由がわからなかったので、「ご紹介者の方は当店について何かお話されていましたか?」とお聞きしたところ、「補聴器は調整次第。この店には腕のいい人がいるから。」と紹介理由をお話されたとのことでした。

その一言を聞き、真摯に難聴と補聴器に向き合ってきてよかったなぁ…と思いました。最近はお酒をまた飲むようになりましたが、その日のお酒が格別に美味しかったのは、言うまでもありません。このところ、信頼していた方々が相次いで引退や転職をされてしまったのですが、この方々ともこのような良い再開が出来ればと思いました。

補聴器とJust earとノーマライゼーション

「ヒアラブルからノーマライゼーションの実現へ…」
今回はイヤホンやJust ear、補聴器にまつわるお話です。

このところ、イヤホン周辺で起きている変化について、補聴器屋として感じるところは、イヤホンが段々と「補聴器に近づいている」ということです。
「ケーブルレスの充電式イヤホンを耳に入れるだけ」「イヤホンと同じ形の集音機が大手メーカーから登場」など、行きつく先は、耳に何かを入れている「ヒアラブル社会」ではないかと思っています。
補聴器はかなりの変革を遂げているものの、「障害や老いを認める器具」として見られてしまい、補聴器を必要とする難聴者が使うには、なかなかのハードルがあります。
しかし、音楽用イヤホンの力で「ヒアラブルな時代」に社会が変われば、補聴器を入れることへの抵抗が、ぐんと低くなるのでは…そう思っています。
「イヤホンが補聴器に似た機能を持ってしまったら、菅野さんには脅威では?」と、時々質問されるのですが、むしろ歓迎だと答えるようにしています。
補聴する器具を使う方が増えれば、「医療機器の補聴器」を使う方も必然的に増えていくのですから…。

障害を持つ人と持たない人が平等に生活する社会を実現する「ノーマライゼーション」という考え方が福祉の分野にはあります。
Just ear事業を青山店で始めるにあたり、開発責任者の松尾さんからは「補聴器のお客様に迷惑にならないか」とご心配いただきましたが、私にはこのノーマライゼーションの考えがあったので、むしろ歓迎であることを伝えた経緯があります。実際には色々なハードルがまだあるのですが、解決方法をつかめているので大丈夫だと思っています。

今回のブログは、先日配信のメルマガにて書いたものです。カスタムイヤホン(カスタムIEM)という新しい事業に取り組んでいるのは、ヒアリングケアに関わる事業領域の拡大という側面もありますが、根底にはこの「ノーマライゼーションへの挑戦」という想いがあることを知っていただきたく、ブログにも転載することにしました。「安く販売する」という安直な方法ではなく、どうしたら補聴器をもっと使ってみよう、補聴器の相談に行ってみようと思ってもらえるのか…根本を変えるために、日々試行錯誤をしながら、挑戦し続けています。

頼られる仕事に、やりがいを感じる。

東京ヒアリングケアセンターの補聴器のお客様は、とても困って来店される方が多い。ほとんど「広告」というものをしていないため、なかなか簡単には、お店に辿り着きません。大体がご紹介によるものです。

今日のブログは、最近いただいた、この「ご紹介」に関するお話です。

今日お電話いただいたお客様からのご紹介

最初にお会いしたのは、もう8年以上前ではないかと思います。この方も、青山店開業前より担当させていただいているお客様からのご紹介でご来店されました。「奥様」繋がりのネットワークです。

このお客様から、本日電話が入ったのは資料を一式送ってほしいというものでした。「知り合いのご家族が補聴器を買ったものの、合わなくて外出しないようになってしまった。あなたの補聴器は調子良さそうだから、紹介してほしいと言われて…。」とのこと。少し遠方になるため、通うのは大変になることをお話しても、行きたいと仰られたそうで、まずは資料をお渡しするということになりました。

ある方には良い効果が出ても、別の方にも同じ効果が出るとは限らないのが、補聴器の難しいところ。でも、何らかの理由で、補聴器の効果を正しく感じられていなかっただけで、良い効果を得る可能性がある方が多くいることも事実。遠くても補聴器の相談に伺いたいと仰っていただいているこの方が、後者であることを願いつつ、万全の状態でご相談に臨みたいと思いました。

先週ご紹介いただいたお客様は、経済界で要職を務められた方。

以前にも、ビジネスマンであれば誰もが知る程の人をご紹介いただいたこともあります。今回もそのような方をご紹介いただくこととなりました。著名な方を担当させていただくことも多く、以前はそのこと自体に喜びを感じる時もありましたが、現在は著名な方を担当すること自体には、特段の喜びはありません。

それよりも、そのような方々は一流の仕事に普段から触れており、独自の物差しをお持ちです。紹介をする場合、万が一には相手に迷惑をかけることもあります。このため紹介をするに値すると判断しない限り、闇雲には紹介いただけるものではないと思っています。特に、補聴器のように効果が不確かな製品の場合には…。厳しい審美眼をお持ちの方に、「紹介するに値する相談先である」と、信頼をいただけていることに、今は喜びを感じます。

このような困っている方々の役に立つ仕事ができることに、とてつもなく、日々、やりがいを感じるのです。