店舗からのお知らせ

営業方針変更の経緯

超高齢化社会に突入した現在、高齢者の健康寿命を伸ばすことが、社会の喫緊の課題です。

中でも誰もが気になる「認知症」は、その最大要因として「難聴」が挙げられていることをご存知でしょうか。難聴をケアする一つの解決策は「補聴器」の使用。そして補聴器を使用することで、海外では認知機能低下の加速を遅らせることが分かってきているものの、日本では肝心の補聴器普及率が想定使用者の14%程度であることも分かってきました。そして、その低い使用率の中で、38%程度の方しか満足していないことも、大規模な調査結果で明らかになっています。待ったなしの状況です。

当店は今一度「ヒアリングケアセンター」と命名した自店の役割に立ち返り、日本の補聴器業界が抱え続けている「低普及率、低満足度、低認知度」の「三低問題」を解決することを、活動の中心にシフトします。

そのような中、約2年前に老舗商業施設より出店オファーがあり、全く新しい店舗を作ることで、この社会問題の解決を目指すことに決意いたしました。成熟した大人をメインターゲットとした日本で最初の商業施設となる「東急プラザ渋谷(12月5日グランドオープン)」に新たな店舗を開設します。補聴器専門店では珍しいオープンフロアと、プライベートな防音空間も兼ね備えた、全く新しい補聴器専門店です。今まで身近な存在ではなかった「難聴」や「補聴器」について考えていただく場とし、社会性ある活動を行ってまいります。

これに伴いまして、現在の2店舗の営業方針を11月より順次変更してまいります。ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程よろしくお願いいたします。

1.青山本店 (11月5日(火)より変更いたします。青山店は本店として、高度なサービスを提供してまいります。)
営業:  午前10時~午後5時【完全予約制】、定休日: 金・日・祝日
電話番号: 03-3423-4133、ファックス番号:  03-3423-1991
取扱業務:補聴器・Just ear
※Just earは立上げ当初よりご予約不要にて続けてまいりましたが、11月からはJust earも含めまして、従来通りの「完全予約制」に戻ります。

2.品川大井町店 (11月11日(月)より変更いたします)
営業: 木曜日(祝日は除く) 午前10時~午後5時【完全予約制】
取扱業務:補聴器
◎ご予約が無い場合は休業の為、事前にご予約をお願いいたします。
※連絡先電話番号: 11月11日(火)より「青山本店(03-3423-4133)」へご連絡ください。
ご予約の際は「ご希望店舗名」もお伝えください。

3.東急プラザ渋谷店 (12月5日グランドオープン)
営業:午前10時~午後9時
年中無休(館指定日を除く)
取扱業務:補聴器
JR渋谷駅西口駅前
(東急プラザ渋谷店の詳細情報は改めてご案内いたします)

※11月2日(土)は、イベント出展のため、全店臨時休業いたします。
青山本店は11月5日(火)より、品川大井町店は11月6日(水)より通常通り営業いたします。

きこえることに、うれし涙。

本日ご来店になられたお客様は、すでに補聴器を使用されている方。新たな聴き取りのために、補聴器の新調をご希望になり、青山店にお越しいただきました。

つい最近のこと、社長と話した話題に「涙」があります。10年以上前は補聴器で聴こえるようになるだけで、涙を流す方もたくさんいらっしゃって、こちらも良い仕事をさせてもらったなと思ったものです。最近はめっきり涙を流すお客様がいらっしゃらず、時代が変わってきましたねと社長と話していました。

本日お越しの若いお客様から、「涙が出そうです…。」と一言。それはスマホの音楽を補聴器で聴けるようになったことによる感動から。難聴になることで、音楽から遠ざかってしまう人は多いですが、補聴器できちんと補正した状態で、補聴器をワイヤレスイヤホン代わりに使うことで、スマホの音楽がダイレクトに聴こえる。一見、補聴器が不要の人には当たり前に見えることが、実は難聴の方には難しいことがあります。2週間後、またお会いするので、その時も本日のような柔らかな笑顔をまた見ることが出来ればよいです。

ワイヤレス技術は以前からあったわけではあるものの、やはり認知度は低い。でもその前に、「補聴器」そのものの認知度が低すぎるのが日本の現状。これは何十年と変わらないことで、何とかしなければならない。

「使命感をもって、伝えていかなければならない。」

私達の店は非常に小さい店ですが、志は、かなり高いと自負しています。2019年の最初のブログで申し上げた「石の上に10年座り続けた東京ヒアリングケアセンターが、2019年にどうなっていくのか…」、本日その答えが一部公開されました。明日以降に、正式にご案内させていただきます。

補聴器技術を高めさせてもらった、あなたとの出会い。そして別れ…。

一般的には、補聴器は買い替えを続けて、長いお付き合いになるのですが、その期間は短くあるべきというのが、補聴器業界のごく当たり前の常識。「どんどん買い替えを提案していかないと」と良く勧められるのですが、性格上、そういうことはできず、一度お作りさせていただいた補聴器を長く大切に使っていただきたい、そう思っています。

補聴器技能者という仕事の宿命、それはご高齢の方が、主なお客様のため、年単位でお付き合いを重ねる中で、良い関係を築けて良かったと思っていた矢先に、その方の天命が来てしまい、突然の別れを迎えるというもの。すごく、辛いです。

昨日も、突然の訃報に、肩を落としました。何となくお元気が無いように見えてはいたものの、まさかと…。

このお客様はかなり特別な方。聴力データやお耳の状態、客観的に考えれば、この一択。そういう選択肢しかないお耳でした。しかし、それを選んだ場合、その方のお仕事でその補聴器は使えないことを意味しており、総合的に考えれば、何とか別の方法を模索したいというものでした。そんな中、当店のお客様からのご紹介で来店されました。

医療機関から紹介された補聴器専門店での試聴結果や提案された補聴器は、特におかしくはありませんでした。前述の通り、客観的に考えれば、適切。でも・・・その方のお仕事を考えれば、私としては「あり得ない」選択でした。

とはいえ、他の提案を模索できるほど、選択肢のあるお耳でもなく…。

今になって思えば、良くひらめいたなと思いますが、「この手法を実現すれば、不可能を可能にできる。」ピーンと、アイデアが頭に浮かんだのですね。通常の補聴器技能者ではありえない方法を編み出して、補聴器を製作しました。かなりトリッキーな作り方になるため、ご本人に説明し製作意図へ同意いただき、メーカーの設計者にも頼み込み製作に漕ぎ着けました(一度は跳ね返された記憶がありますが…)。

どうして、あんなトリッキーな手法を思いついたのだろうと、想いを巡らせてみると、それは、私が補聴器だけでなく、テイラーメイドのイヤホンの仕事に、かなり、のめり込んでいたからだと思います。一般のお客様から、著名アーティストまで、年間最高1,000人の耳型を採取したりして、耳の特徴が嫌でも体に刻み込まれました。たった一度の結果のみが求められる言い訳が通用しない現場も経験しました。そんな経験が活かされ、「この方法を使えば、いいんじゃないか」と、後にも先にも、このお客様のために考案した技法を実施しました。

「小さい耳に小さな耳あな型補聴器を作る。」これは、かなり非現実的ですね。でも、それをこのお客様では実現できた。私の経験を総動員したからこそ、できた。そして、喜んでいただけた。一般的な医療機関を通したルートでは解決できなかった課題を、プライベートで紹介を受けて、対応できた。…痛快でした。

後にも先にも、この方だけのために行った技法により、出来上がった世界に一つの目立たない補聴器。広告宣伝で活用される「小型」や「目立たない補聴器」などが一蹴できるほどの、完成度。自分にとっては「作品」と呼んでも過言ではない出来上がりであったため、もっと使っていただきたかった…。でも天命には抗えませんね。

故人には…、どうぞ安らかに…、そして、私に技術を高める機会を与えてくださったことに感謝し、今夜のお酒は、献杯です。