専務 菅野聡のブログ

やはり、質の良い補聴器は、良い。

先日納品させていただいた補聴器とお客様とのお話です。

私の店は認定補聴器専門店のため、医療機関と連携し、難聴でお悩みのお客様に対して、質の高い聴覚ケアを提供しています。特別なご事情で医療機関の受診を望まないお客様はいらっしゃいますが、ほぼ全てのお客様に医療機関をご紹介しています。日頃から連携している耳鼻咽喉科の先生を中心としつつ、かかりつけの耳鼻咽喉科の先生が既にいらっしゃる場合には、かかりつけの先生とも連携します。

医療機関と認定補聴器専門店が連携する意義は、補聴器店による独善的な対応を排除し、多角的な聴覚ケアをご提供できることにあります。その一方で、医療機関と連携する場合には、連携先の先生のお考えを考慮しながら補聴器の選定を行うことが求められます。このため、技能者として高性能な補聴器が必要なお客様と判断しても、連携先の先生が安価な補聴器以外はお認めにならないお考えをお持ちの場合は、簡単には認定補聴器技能者の推奨補聴器をお勧めできない難しさもあります。

このような環境で日々補聴器のフィッティングと販売そして保守を行っていますが、つい先日、興味深い経験をしました。前述の通り、安価な補聴器以外はあまりお認めにならない先生の患者様を担当した際のことです。いつも通り、国内の補聴器平均価格(15万円/個)よりも安価な補聴器で購入前の検証をしたところ、なかなか、違和感が取れません。どのように調整をしても改善しないため、別日に再度お越しいただき、別の角度から測定し、検証させていただくこととしました。数日後にお越しいただき、再度試聴用補聴器にて違和感の除去を試みましたが、やはり上手くいきません。お客様からのご希望もあり、試しに2ランク上の中間クラスの補聴器をご試聴いただいたところ、2日かけて改善できなかった補聴器試聴に対する違和感が、「パッ」と一瞬で解決してしまいました。

高性能な補聴器であっても、お客様の聴力によっては満足いただける効果を引き出せないケースもあるため、高性能な補聴器を安直に、どんどんとお薦めすることはしていません。「補聴器はお客様のきこえに合わせるフィッティングが一番重要」と日頃説明していますが、今回のケースではフィッティングよりも、補聴器の性能が解決策でした。

認定補聴器専門店として、医療機関としっかりと連携はとりつつ、独立した立場にある認定補聴器技能者として、適切な補聴器の選定眼が必要と改めて思いました。補聴器にもよりますが、高機能な補聴器は基本的に下のランクの補聴器で出来ることはできます。しかし、その逆はできません。やはり質の良い補聴器は良いのだなと考えさせられました。「ご予算の可能な範囲で」という注意は必要ですが、補聴器購入時の参考していただければ幸いです。

追伸:
低価格な補聴器で十分なお客様もいらっしゃいますので、ご安心ください。補聴器は必要な機能や使用環境、ご予算等を総合的に踏まえて、ご相談の上決定しています。