専務 菅野聡のブログ

Oticon Zeal(オーティコン・ジール)を解説 発表会で感じた特徴と注意点、相談先について

Oticon Zeal(オーティコン・ジール)の画像とロゴ

Oticon(オーティコン)の新製品 Oticon Zeal(オーティコン・ジール) が本日発売されました。いつもは新製品の情報を取り上げることはありませんが、Oticonにとって新しいカテゴリーの登場でもあり、今後の補聴器の在り方を変える可能性を秘めた補聴器であるため、今回はその概要と、補聴器専門店の立場から感じたことを書きたいと思います。長文になりますが、お付き合いください。

Oticon Zealは、NXT(ネクスト)という新しいカテゴリーの耳あな型補聴器です。見た目の自然さ、スマートフォンとの接続性、装用のしやすさ、そして耐久性など、従来は両立が難しかった点に対して、新しい形で答えようとしている補聴器だと感じました。

|補聴器に対するスティグマに挑戦する新製品

Oticon Zeal(オーティコン・ジール)の右耳用の拡大画像で耳栓はユニバーサルタイプが装着されている
(画像:右耳用のOticon Zeal(オーティコン・ジール)。先端にはユニバーサルタイプの耳栓が装着されている。)

今回の「Zeal」という名称には、強い熱意・情熱・使命感という意味があります。発表会では、約7年の歳月をかけて開発された、これまでにない発想の補聴器であることが紹介されていました。

その背景にあるのが、補聴器そのものや、補聴器を使うことに対するスティグマ(偏見や心理的抵抗感)への挑戦です。「補聴器は目立つもの」「使うことに抵抗がある」と感じる方は少なくありません。Oticon Zealは、そうした心理的なハードルを少しでも下げ、より自然に補聴器を取り入れられるようにすることを目指した製品として位置づけられていました。

|NXTという新しい考え方

左耳用のOticon Zeal(オーティコン・ジール)を撮影。先端には耳の型に成型した硬質素材のマイクロモールドが装着されている状態。
(画像:左耳用のOticon Zealを撮影。先端には耳の形に成型した硬質素材のマイクロモールドが装着されている状態。)

Oticon Zealの大きな特徴の一つが、NXT(ネクスト)という新しいカテゴリーで登場した点です。

従来の耳あな型補聴器は、耳型採取を行ってオーダーメイドで作製するのが一般的でした。一方、Oticon Zealは耳型採取を必要とせず、先端にシリコン製のユニバーサルタイプの耳せんを装着して使う、新しい発想の耳あな型補聴器です。さらに、ユニバーサルタイプの耳せんだけでなく、耳型採取をして製作する小さなモールドを取り付けることも可能です。

耳あな型補聴器でありながら、すぐに試すことが可能になった点も、この製品の特徴の一つといえるでしょう。従来の「耳あな型=完成まで時間がかかる」という印象とは異なる、新しい考え方の製品だと思います。

|小型の耳あな型でBluetooth対応、Auracastにも対応

耳の模型(右耳)にOticon Zeal(オーティコン・ジール)を装着した状態。耳の模型の一部がカットされていて内部の状態を確認できるサンプルを撮影。
(画像:耳の模型(右耳)にOticon Zeal(オーティコン・ジール)を装着した状態を撮影。赤い部分が先端に取付したマイクロモールド。内部を確認できるように、耳の模型の側面(外耳道前壁)がカットされている。日頃お世話になっているオーダーメイドの設計者と議論でき、通常よりもOticon Zeal用のマイクロモールドは外耳道の奥まで製作する必要があることが分かった。耳型採取の精度がとても重要になる。)

Oticon Zealで印象的だったことの一つが、小型の耳あな型補聴器でありながらBluetooth接続に対応していることです。これまで、小型の耳あな型ではスマートフォンとの連携に制約があることも少なくありませんでした。しかし、Oticon Zealは、Bluetooth LE Audioに対応し、音楽ストリーミング、ハンズフリー通話、Auracast(オーラキャスト)の受信が可能とされています。

その理由の一つが、アンテナを補聴器の外に出した構造です。写真にある透明の細長い紐状のものがアンテナです。このアンテナは、通信のためだけではなく、Oticon Zealを耳の中で安定して保持するための支えにもなっています。さらに、耳の中から取り出すときの取っ手としても役立つよう工夫されています。通信のためのアンテナが、装用の安定性や扱いやすさにもつながっている点は、Oticon Zealの特徴をよく表しているように思いました。

耳あな型補聴器の見た目の自然さを重視しながら、スマートフォンとの接続性も求めたい方にとっては、関心を持たれる製品ではないかと思います。

|カプセル化という保護設計

今回の発表でとても印象的だったのが、Oticon Zealの内部構造です。この製品の特徴として紹介されていたのが、「カプセル化」という考え方です。ペースメーカーにも使われる製造技術を応用し、内部の重要部品を樹脂で充電池も含めて保護することで、コンパクトさ、耐久性、高い防湿性を両立させる狙いがあると説明されていました。

こうした保護設計の進化は、単に新しいというだけではなく、日常的に使う補聴器として、長く安心して使えるかどうかという点でも意味のあることだと思います。

|充電式で、日常の使いやすさにも配慮

Oticon Zealの充電中の状態を撮影。
(画像:補聴器本体のLEDランプの色で充電状況を確認できる。左側のOticon Zealはオレンジ色で充電中。右側のオーティコン・ジールは緑色で満充電状態を表している。実際には青色と赤色の部分に耳栓を取り付けて使用する。)

Oticon Zealは充電式です。小型耳あな型補聴器では、電池交換の手間が負担になる方も少なくありませんが、充電式であればその点の負担軽減が期待できます。また、1日を通して使いやすい充電性能を備えていることも特徴の一つです。今回の発表では、充電方式にも工夫があることが示されていました。

カプセル化によって内部構造をしっかり守る設計である一方、長く性能を維持して使えるよう配慮されている点は、実際に使用していくうえでも大切なポイントだと感じました。

|Intent miniBTE Rも同時発売

Oticon Intent(オーティコン・インテント)mini BTE Rの画像。
(画像:Oticon Zealと同時発売されたOticon Intent(オーティコン・インテント)miniBTE R。)

今回の発表では、Oticon Intent(オーティコン・インテント) miniBTE Rも同時に紹介されました。Oticon Intent miniBTE Rは、小型の充電式耳かけ型補聴器です。Bluetooth LE Audio、高品質ストリーミング、ハンズフリー通話などの接続性も備えており、Intentシリーズの新たな選択肢として加わることになります。

また、従来のOticon Real(オーティコン・リアル)から性能が向上しただけでなく、Intentシリーズになったことで、充電器が従来よりも小型化されている点も印象に残りました。

|実際に感じたOticon Zealの特徴と課題

Oticon Zeal(オーティコン・ジール)でBluetoothの新規格AURACASTを体験中を撮影。
(画像:Oticon Zealとスマートフォンを繋ぎ、Bluetoothの新規格Auracastを体験中。)

今回、デンマーク本社(Demant)バイスプレジデントのソーレン・コールディング氏が、「20年前に登場した革新的な耳かけ型補聴器が現在のスタンダードになったように、Zealも未来の基準になる」という趣旨で語っておられたことが非常に印象に残りました。実際、Oticon Zealは業界における一つの転換点になる可能性を感じさせる製品です。

その一方で、専門的な視点から見ると、導入にあたっては慎重に確認したい点もあります。特に日本人は耳が小さい傾向があるため、装用できるかどうかには個人差があります。私自身を含め、青山店スタッフは全員耳に入りませんでした。また、軽度〜中等度難聴向けであること、高価格帯モデルであること、新しいNXTカテゴリー特有の条件があることなどから、すべての方に一律におすすめできる製品ではありません。

だからこそ、このOticon Zealは、「新しいからおすすめする」というよりも、その方の耳の形、聴力、使用環境、スマートフォン利用状況、ご希望の装用感まで含めて、専門店で丁寧に確認しながらご提案すべき補聴器だと感じました。そのうえで、耳あな型補聴器でスマートフォン接続を希望される方や、従来の耳あな型でこもり感が気になっていた方、できるだけ目立ちにくい補聴器を探している方、新しいタイプの補聴器に関心のある方にとっては、検討する価値のある製品ではないかと思います。

|ご相談について

Oticon Zeal(オーティコン・ジール)のような新しい補聴器は、カタログ上の機能だけで判断するのではなく、実際に使えるかどうかを確認しながら検討していくことが大切だと思います。

特にOticon Zealは、以下のような点を実機で確かめながら考える必要があります。

・耳の形に合うか
・装用感に無理がないか
・聴力や生活環境に合っているか

東京ヒアリングケアセンターでも、こうした新製品についてご相談を承っています。Oticonの補聴器をご検討中の方や、Oticon Zealにご関心のある方は、東京ヒアリングケアセンターにご相談ください。店頭で気軽にサンプルを試着して、装着感を確認いただくことも可能です。

|余談:デルタを思い出しました

今回の発表を聞いていて思い出したのが、ちょうど20年前の今頃に日本でも発表されたOticonの「デルタ」です。当時としては構造もデザインも非常に斬新で、補聴器のイメージを大きく変えた製品でした。現在の青山本店を開業する直前に発表されたこともあり、「これを待っていました!」と心の底から感じたのを、今でも鮮明に覚えています。

本体から外耳道に入るスピーカー部を分離することで、小型化と音質向上を目指したRITEの発想は、その後の耳かけ型補聴器の流れに大きくつながっていきました。そして今回のOticon Zealにも、そうした「これまでの補聴器の当たり前を変える」というOticonらしい挑戦を感じました。

バイスプレジデントのソーレン・コールディング氏は、20年前の青山本店を開業した頃にもお越しくださり、開業を祝っていただいたことを思い出します。その後も、デンマーク本社を訪れた時や国内の発表会などで度々お会いしてきました。あれからもう20年になりますが、こうしてまた新しい発想の製品を携えて来てくださったことを、嬉しく思いました。発表会の最後には、私の耳にはZealが入らなかった話をしたところ、ご自身の耳に装用した写真をスマートフォンで見せてくれました。とてもきれいに収まっていて、正直うらやましかったです。
そんなことも含め、今回の発表会は楽しい時間でした。

|FAQ

Q. Oticon Zeal(オーティコン・ジール)はどこで相談できますか?
A. 東京ヒアリングケアセンターでご相談いただけます。耳の形や聴力、スマートフォンの利用状況などを確認しながら、Oticon Zealが適しているかを専門的にご案内します。青山本店では、実耳測定を含む、より専門的なフィッティングにも対応しています。

Q. Oticon Zealは購入前に試せますか?
A. 試聴をご希望の方は、東京ヒアリングケアセンターへ事前にお問い合わせください。試聴機の在庫状況を確認のうえ、ご案内いたします。

Q. Oticon Zealはどのような方に向いていますか?
A. 耳あな型補聴器でスマートフォン接続を希望される方、できるだけ目立ちにくい補聴器を探している方、新しいタイプの補聴器に関心のある方にとって、関心を持たれる製品だと思います。ただし、耳の形や聴力によって適応は異なるため、専門店での確認がお勧めです。


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